2015年9月の国連総会において、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、「”Make cities and human
settlements inclusive, safe, resilient and sustainable”(包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市及び人間居住の実現)」が目標の1つとして掲げられました。そこでは、貧困や社会的弱者の安全性や公共サービスへのアクセス、衛生状態の改善、持続可能な都市化とその管理、文化・自然資源の保全、災害対応、廃棄物や気候変動などの環境問題への対応、都市・農村間の関係構築、それらを包含する総合的な政策の導入などの実現が2030年に向けたターゲットとされています。
日本においても、人口減少と超高齢化、地域・個人レベルでの経済格差の拡大、インフラの老朽化、自治体財政危機、気候変動等の環境問題などに直面しており、都市・地域社会の持続可能性が課題となっています。
このように、持続可能な都市・地域は、社会・経済・環境・個人という領域を包含する複合的なテーマ(下図)であり、今後の人間社会や日本にとって極めて重要な研究テーマといえます。
図 「持続可能な都市・地域」の研究領域(案) 栗島作成
山下・栗島の専門分野である地理学分野はこれまでも都市・地域における社会・経済・環境・個人の関係性について扱ってきており、研究の蓄積もあります。ただ、日本においては、地理学分野内の細分化が進んだこともあって、持続可能性のような複合的で大局的なテーマに正面から取り組めているとはいえません。また、持続可能性は通時的な概念ですが、これまでの地理学は、都市・地域の過去から現在については扱ってきたものの、その未来をあまり語ってきませんでした。しかしながら、先述のように「持続可能な都市・地域」は今日的課題であり、地理学分野の研究者がこの課題に関わることは意義が大きいと考えます。
以上を踏まえ、「持続可能な都市・地域」研究に携わる様々な分野の研究者と地理学研究者で構成される勉強会を立ち上げることとしました。
勉強会の目的は以下の通りです。
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また、勉強会におけるテーマとして、以下のものを考えています。ただし、テーマについては勉強会参加者からの要望を随時募集します。
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なお、勉強会は公益社団法人日本地理学会の研究グループとはせず、当面は自主的な勉強会として活動します(既存の研究グループとの競合を避ける意味もあります)。
また、ディスカッションを中心とした勉強会を定期的に開催するとともに、メーリングリストによる情報共有を行います。
勉強会をきっかけに「持続可能な都市・地域」を大テーマとして、いくつかの学際プロジェクトを立ち上げてファンドを取り、研究・実践を行っていくことを視野に入れます。その場合、その進捗や成果を勉強会で発表し、意見交換することを推奨します。